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Daniel Johnston(ダニエル・ジョンストン)

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ダニエル・ジョンストン(1961-)は、アメリカのシンガー&ソングライターで、「テキサスのブライアン・ウィルソン(※1)」とも呼ばれている。どちらかと言えばミュージシャンズ・ミュージシャン(ミュージシャンから愛されるミュージシャン)である。2003年には来日公演もしており、TOM WAITSやBeckが参加したトリビュート盤も日本で発売されている。

Daniel Johnstonの生い立ち

ジョンストンはカリフォルニア州サクラメントで生まれて、ニュー・カンバーランド(ウエスト・バージニア)で育ちました。父は軽飛行機のパイロットで、母はキリスト教原理主義者、そしてジョンストンは小学校の頃は成績は優秀で、特に音楽と絵に才能を示したと云います。

ビートルズと漫画(「おばけのキャスパー」や「キャプテン・アメリカ」)が大好きだったが、母親からはそれらの趣味は理解されず頻繁に叱られていた(※2)。ジョンストンは自分の好きなロックンロールや漫画を「罪」と決め付ける母親の影響もあり、思春期のジョンストンは自宅の地下室で自分の世界に引きこもりがちになります。

彼の歌にはセックスも社会もまったく出てこない。心の年齢は十二歳で止まっている

10代になると彼はSanyoのmonaural Boomboxに自分の歌や鍵盤演奏(弾き語りなど)の音楽を録音するようになります(彼の音楽はビートルズ、特に「ジョンの魂」や「イマジン」の頃のジョン・レノンの影響が強く、また歌詞や絵には「キャスパー」や「キャプテン・アメリカ」が今も登場する)。

高校を卒業したジョンストンを親は無理にクリスチャン系の大学に入学させるが、そこでジョンストンはついに精神が崩壊(双極性障害)、最初の入院をする。

初恋

親はそんな大学の代わりに地元のアートスクールにジョンストンを転入させた。
そしてこのアートスクールでジョンストンは初恋の人、ローリーに出会う。

ジョンストンは8ミリ・カメラでローリーを追いかけ、彼女の声を録音し、ローリーを歌い、ローリーを描いた(ジョンストンの中では、ローリーと永遠に愛し合うはずだった)。

しかし、彼女には別の男(葬儀屋 ※3)と結婚してしまう。

以降もジョンストンはローリーの歌を何曲も何曲も作り続けている(二十年間もほとんどローリーのことばかり※4)。

ミュージシャンとして

大学を中退したダニエルは、テキサスに住む兄の家に同居し、マクドナルドで働き始める。

昼間は黙々と働いて、夜は歌を作った。それをカセット・テープに録音し、地元の新聞オースティン・クロニクルの音楽評担当者に渡したことからジョンストンのミュージシャンとしての道が開かれていく。

ジョンストンのテープを聴いた担当者は「ボブ・ディランの最初の三枚のアルバムに匹敵する」と驚いて、絶賛する評を書いたことがきっかけで、MTVが全米の地元のミュージシャンを紹介する番組にもジョンストンは出演した。

もちろんテープの注文が殺到した。

そしてダニエルは注文の数だけ何度も何度も演奏してテープを一本ずつ録音した

「ダビング」を知らなかったというのもジョンストンらしいエピソードである。

daniel-johnston(photo:austinfilm.org)

しかしミュージシャンとして少しずつ成功していく一方で、(マリファナやLSDも覚え)ジョンストンの精神病は更に進行していく。

ある朝にゴミ缶を叩いて暴れていた彼に窓から「うるさい」と苦情を入れた女性の家にジョンストンは上がり込んだ。恐怖した女性が窓から落ちて重傷を負い、ジョンストンは逮捕。精神病院に送られた(※5)。

「彼女を窓から投げたのは悪魔さ」

ジョンストンはこの頃になるとすべては悪魔の原因だと思うようになっていた。彼の描く絵の中に悪魔が登場するようになる。

「HI,HOW ARE YOU」

ダニエル・ジョンストンが世間に広く知られたのは、ニルヴァーナのカート・コバーンがダニエルの描いたカエルの絵(「HI,HOW ARE YOU」のジャケット)のTシャツを着てテレビなどによく出たのがきっかけだ。

daniel johnston(photo:「HI,HOW ARE YOU」)

結果的にはカート・コバーンのおかげでジョンストンは有名になり、大きな会場でもライブができるようになり、現在でもアート活動や音楽活動を続けている。

しかし有名になったジョンストンは今も、両親の家の地下室に住んでいる。ビートルズのレコードや「おばけのキャスパー」「キャプテン・アメリカ」・・彼の心は少年の頃のままなのである。

Daniel Johnston discography

Studio albums
「Songs of Pain」 (Stress Records cassette, 1981)
「Don’t Be Scared」 (Stress Records cassette, 1982)
「The What of Whom 」(Stress Records cassette, 1982)
「More Songs of Pain」 (Stress Records cassette, 1983)
「Yip/Jump Music 」(Stress Records cassette, 1983; CD issued on Homestead, 1989)
「Hi, How Are You 」(Stress Records cassette, 1983; issued with Continued Story on Homestead, 1989)
「Retired Boxer 」(Stress Records cassette, 1984)
「Respect 」(Stress Records cassette, 1985; 10″ on Spain’s Munster label)
「Continued Story with Texas Instruments 」(Stress Records cassette, 1985; reissued with Hi, How Are You on Homestead, 1985)
「Merry Christmas」 (Stress Records cassette, 1988)
「1990」 (Shimmy Disc, 1990)
「Artistic Vice 」(Shimmy Disc, 1991)
「Fun」 (Atlantic, 1994)
「Rejected Unknown」 (Gammon Records/Pickled Egg Records, 2001)
「Fear Yourself with Mark Linkous」 (Gammon Records (USA), Sketchbook Records (UK and Europe), 2003)
「Lost and Found 」(Sketchbook Records, UK and Europe, 2006)
「Is and Always Was」 (Eternal Yip Eye Music, 2009)
「Space Ducks」 (soundtrack, 2012)

Live albums
「Live at South by Southwest 」(Stress Records cassette, 1990)
「Frankenstein Love」 (Recorded live in 1992 (Stress Records cassette, 2000)
「Why Me? recorded live at the Volksbühne in Berlin, June 6, 1999」 (Trikont, 2000)

※1 BEACH BOYSの元リーダーにしてボーカル、ベース担当。
※2 ジョンストンにはなんでも録音する趣味があり、母親の説教や友人との会話、そしてその日の出来事を日記のように語るなど多くが保存されている。
※3 葬儀屋の曲もある。
※4 ローリー以外の女性について歌った曲もある。
※5 精神病院ではマウンテン・デューにハマり、マウンテン・デューを賛美する歌を作ってペプシに送った。もちろん不採用。

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