飲食チェーン店「しゃぶしゃぶ温野菜」でバイトをしていた大学生が、「殺すぞ」と脅されたり、4カ月間の連続勤務や多額の「自腹購入」を強いられたとして、未払い賃金や購入代金の返還などを求めて会社側に団体交渉を申し入れました。
この大学生は今年4月から8月まで、毎日12時間休みなく働かされたのに一分の賃金が未払いになってると主張。食べ物を落としたなどとして、商品計10万円以上の自腹購入をさせられた訴えています。さらに退職を申し出たら店長から「ミスが多いから懲戒免職」「どうやって責任を取るんだ」と言われ、4000万円の損害賠償請求を示唆されたりして退職できなかったといいます。
先ほどNHKニュースで紹介されたブラックバイト、NHKは名前を出してくれませんでしたが「しゃぶしゃぶ温野菜」です。大学2年生が「殺すぞ」と脅され、ミスを責められ自腹を強制され、4カ月の連続勤務・長時間労働をさせられた極悪な事件。 pic.twitter.com/d9jGpgSIPC
— 坂倉昇平@ブラックバイトユニオン (@magazine_posse) 2015, 9月 10
店長との電話でのやりとりを録音されたものも公開されています。(NHKニュースでは店舗の名前を出さずに紹介されています)
しゃぶしゃぶ温野菜とは
旬のお野菜、厳選したお肉、多彩なだし。 … こだわりのお肉と野菜が鍋を彩る「しゃぶしゃぶ 温野菜」の食べ放題。 はじめての方へ · 食べ放題 · セットメニュー · 宴会 · 宴会予約 … 期間比較で販売数が2倍以上に! 全国のしゃぶしゃぶ温野菜で夏季限定販売中。(公式サイト)
しゃぶしゃぶ温野菜公式サイト/http://www.onyasai.com/
しゃぶしゃぶ温野菜公式ツイッター/@on_yasai
しゃぶしゃぶ温野菜は牛角と同じグループ
しゃぶしゃぶ温野菜のフランチャイズの運営会社とフランチャイズ本部は株式会社レインズインターナショナルです。
株式会社レインズインターナショナルは問題となった「しゃぶしゃぶ温野菜」の他に「牛角」、「かまどか」、「土間土間」も経営する会社です。
しゃぶしゃぶ温野菜のブラックとされる問題行為
店長の問題行為
Aさんは、しゃぶしゃぶ温野菜で昨年5月から勤務しています。当初は週4日、1日5時間程度でしたが、昨年12月頃から勤務の回数が増えていき、勤務が段々と過酷化していきました。今年の4月12日から8月11日までの間は、1日も休まずに4ヶ月連続勤務を強いられました。ここ数ヶ月間は、平均すると昼の12時過ぎから、深夜25時過ぎまで、1日12時間程度働いていました。
また、今年の春先には、数千万円の損害賠償を店長から示唆されたり、店の商品の自腹購入(食べ放題10人前で3万数千円など)を何度も強いられ通算して十数万円を支払ったりしています。
さらに、8月12日の未明には、店長から帰宅途中のAさんに対し、「家に行くからな。殺してやる。」という脅迫の電話がありました。Aさんは、精神的にも肉体的にも多大な被害を受けたうえ、アルバイトのために大学にも通えなくなって、今年度の前期の全ての授業の単位を落としてしまいました。このように、しゃぶしゃぶ温野菜での過酷なアルバイト勤務がAさんの健康面や学業の面に深刻な影響を及ぼしてしまったと言えます。(掲載元:http://blackbeitunion.blog.fc2.com/blog-entry-32.html)
しゃぶしゃぶ温野菜の対応
総合サポートユニオン執行委員・青木耕太郎 (@kotaro_aoki)氏のツイート
「私は労働組合役員の立場から「しゃぶしゃぶ温野菜」のパワハラ店長に直接事情を聞きに行ったが、印象的だったのは、店長は4ヶ月連続勤務も十数万円の自腹購入も数千万円の損害賠償請求も全く悪くないと思っていること。「店の経営が悪化したら私が多額の借金を負う」と刷り込まれバイト酷使を正当化。」
団体交渉を申し入れた「しゃぶしゃぶ温野菜」の店では、実は昨年12月頃に5人が、今年春にも数人が辞めて人手不足が深刻だった。それゆえ、店長は8ヶ月連続勤務、学生バイトは4ヶ月連続勤務をしていた。運営会社は、人員補充を十分にできずにいたにもかかわらず、営業時間も営業日も変えなかった。
「しゃぶしゃぶ温野菜」の件、辞めればいいじゃないかという批判は通用しない。彼は辞めたいと2回店長に申し出ている。1回目は「辞めるなら懲戒解雇にする。懲戒解雇になると就職できない。」と言われて断念。2回目は胸倉を掴まれて脅迫されて断念。
ブラックバイト、団体交渉を申入れ後の対応
フランチャイズ店運営会社の対応
・9月10日、代表者に電話をして、団体交渉を申入れしたものの、団体交渉を応諾するかどうかの回答は保留された。
・9月11日、代表者からFAXがあり、「9月30日まで回答猶予」を求めてきた。
・9月12日、代表者に電話をして、団体交渉を受けるかどうかについての回答と、迅速な話し合いの場の設定を要請したが、代表者は「9月30日まで待ってほしい。」「私は何も決められない。」と繰り返した。当ユニオンから団体交渉に応じる法的義務があることを説明したが、それに対しても明確な返答は得られなかった。また、迅速な解決のために、被害者である大学生アルバイトの話や、当ユニオンの説明を聴く機会を設けるように再度要請したが、「申し訳ないが、何も答えることはできない。」との返事だった。
フランチャイズ店舗の動向
・ここ数日の間に、被害者である大学生の自宅ポストに手紙が投げ込まれていた。その内容としては、被害者である大学生アルバイトを誹謗したうえで、「今回の件で、あなたを訴えようという声が上がっています。(中略)この先のことを、本当によく考えて下さい。」というものだった。
※文書中の“今回の件”というのが、当ユニオンによる店長への事情聴取(8/25)を指すのか、あるいは団体交渉申し入れ(9/10)を指すのかについては不明。
・そのため、被害者である大学生は、友人宅に避難を続けることを余儀なくされた。
新たな恐喝の問題。こちらは問題になっている店長や店舗関係者によるものかは不明です。こうしたこともあり現在ネット上では店長の名前や店舗名の特定が求められています。
フランチャイズ本部である株式会社レインズインターナショナルの対応
・9月10日、フランチャイズ本社である株式会社レインズインターナショナルを訪れて、団体交渉を申し入れたものの、団体交渉を応諾するかどうかの回答は保留された。
・9月11日、株式会社レインズインターナショナルからFAXがあり、当ユニオンとの話し合いに応諾すべき法的義務はないこと、雇用主であるフランチャイズ運営会社が回答すべきこととして、当ユニオンとの話し合いに応じない旨の連絡があった。
また、フランチャイズ本部の立場から、事実関係を詳細に把握したうえで、フランチャイズ店運営会社に対して適切に指導・助言していくとも書き添えてあった。
しゃぶしゃぶ温野菜のブラックバイト店長・店舗へ指導が行われると良いですね。
ブラックバイトの定義
学生の無知や立場の弱さにつけ込むような形での違法行為が当たり前となっているアルバイトのこと。違法行為として、例えば、残業代不払い、休憩時間の不付与、不合理な罰金の請求、パワハラ・セクハラの放置などがあげられる。(掲載元:http://blackarbeit-union.com/aboutUs/aboutBlackarbeit/)
この定義によれば今回のケースの場合、しゃぶしゃぶ温野菜はブラックバイトと言えます。
ブラックバイトの背景
パートやアルバイト、派遣などの非正規雇用に頼る会社が増えてきたことが関係しています。つまり、人件費の削減のために、かつては正社員だけがやっていたような責任の重い仕事が学生アルバイターのような低賃金の非正規雇用労働者にも押し付けられるになってきたのです。これを、「非正規雇用の基幹化」と言います。とりわけ、フルタイムで働くフリーターの増加は、学生アルバイトの位置づけを大きく変えました。学生アルバイターも、ある意味彼らを「お手本」として働かざるをえなくなったのです。(掲載元:http://blackarbeit-union.com/aboutUs/aboutBlackarbeit/)
ブラックバイトと感じたら相談しましょう
ブラックバイトはサービス残業や自爆(ノルマの未達成を理由に商品の買い取り)、上司によるパワハラ・セクハラなど違法行為が存在している可能性が高いです。ブラックバイトと感じたら一人で悩まずにすぐに相談をすることをお勧めします。
相談先例:
ブラックバイトユニオン
ブラック企業の被害者からの相談をうけ、一人ひとりの問題を解決しつつ、ブラック企業をなくすことを目指して活動している団体です。
「証拠集めノウハウ」や「労働法クイズ」などもあるので一度覗いておくと良いかもしれません。
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